当社は「まちづくりが店づくり」を合言葉に、ショッピングセンターが立地するそれぞれの地域で、様々な取り組みを実施。テナントやイベント・催事等の誘致ならびにショッピングセンターの管理運営を行う<SC事業>、「i-closet(アイ・クローゼット)」のショップ名称で衣料品やホームグッズの仕入販売を行う<専門店事業>、不動産の賃貸管理を行う<不動産事業>、文化教室等の管理運営を行う<文化事業>の4つの事業を、関西を中心に展開しています。
人材こそ会社の宝です。当社では上記4つの事業により高いレベルで対応できるよう、各地のショッピングセンターに関する視察研修や、マナーや接遇、衣料品販売に関する研修等を実施しております。また「5Q*経営」として、自己改革を通じて逆境を跳ね返して成果を生み出せる取組を推進しています。目指しているのは「他社から引き抜かれる人材」の育成です。
*5Q=IQ(知能指数)、EQ(感情指数)、SQ(社会指数)、AQ(逆境指数・達成指数)、CQ(好奇心指数・文化的指数・コミュニケーション指数)
地域に根差し、地域に愛され、
地域になくてはならない
ショッピングセンターの運営を通じて
地域社会に貢献します。
前身であるいづみや呉服店が創業
衣料品の販売を主とするいづみや株式会社を設立
前身であるイズミヤ株式会社がエイチ・ツー・オーリテイリング株式会社と経営統合
株式会社エイチ・ツー・オー商業開発設立(代表取締役社長:黒松弘育)
イズミヤ株式会社より商業施設運営、および衣料品・住居関連品販売事業について、吸収分割にて承継
株式会社エイチ・ツー・オーアセットマネジメントよりSC事業を吸収分割にて承継
前身のいづみや呉服店創業より100周年を迎える
今井康博が代表取締役社長に就任(現任)
予定を2年前倒しして営業黒字を達成
長年ご愛顧いただきましたお店の名称を「イズミヤ」から「イズミヤショッピングセンター」に変更
1921年に創業した前身のいづみや呉服店は、戦後に衣料品のセルフ販売を皮切りに関西屈指の総合スーパー企業として成長を遂げた。しかしバブル崩壊後、業績は一進一退となった。
2014年にはエイチ・ツー・オーリテイリング㈱と経営統合。一定のシナジーを生み出したものの、主力事業である総合スーパー事業の構造改革には余地を残した。
2019年春、H2Oリテイリングはイズミヤ株式会社の分社を決定。総合スーパー事業からショッピングセンター事業への転換を決断した。また早期退職優遇制度の拡充を通じた人員の削減を実施した。
2019年度の事業損益は21億円の赤字。多くのベテランが会社を去り、さらには新型コロナウイルスの感染拡大が現実味を帯びるなか、当社は船出した。
2020年4月、株式会社エイチ・ツー・オー商業開発が名実ともにスタート。2年間で35店舗のSC化(直営売場の縮小とテナントの導入)を完了させ、より地域の皆様のお役に立てる商業施設へと生まれ変わる方針のもと取組を開始した。
しかし2020年4月に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う初の「緊急事態宣言」が発出され、大きな赤字、早期退職による人員減に加えてコロナ禍の拡大と、まさに三重苦の中での船出であった。
それでも当社スタッフは前を向き、リーシングを進めるとともに、小売出身の商業施設である特性を活かし、空きスペースで自前の催しものを展開。地域のアクターとも協業を広げ、フリーマーケットやマルシェ、地元の飲食店や食物販の販売スペースを商業施設内に提供した。
また社長の黒松弘育は「近隣型商業施設」を提唱。行政を含む地域との連携の中にこそ商業施設の未来があると唱え、河内長野市、寝屋川市、門真市などとの取組を後押しした。
2021年7月2日。新社長の今井康博が着任の挨拶を行った。
「大幅に前倒しでの黒字化を2021年度に成し遂げる」「黒字化すれば、全従業員に対して評価に関係なく1円でも報いる」
しかし、社内は半信半疑であった。
SC化に向け直営売場の縮小は大きな遅延なく進み、常務の仲西を中心としたリーシングで1フロア単位の空床も解消しつつあった。しかし「この次」を考える余裕が社内にはなかった。また、イズミヤ時代の早期退職ならびにイズミヤとの分社を経て社内の意欲は徐々に減退。前例踏襲的な仕事の仕方が問題視されることも少なくなり、チャレンジに乏しい風土となっていた。
そんな風土を変えるため、今井は様々な事柄に着手した。
まず、決裁について全て社長が目を通すこととした。2021年10月からは決裁基準を税抜1万円以上とし、よりきめ細かな管理に改めた。各部署が、従来の仕事のやり方、従来の取引先について真剣に考える契機となった。同時に、今井が掲げたのは「費用の適正化」である。費用削減は誰にでもできる。しかし、費用の適正化には知恵がいる。徹底的な合理化とともに、必要な項目への資金投下はいとわない、ということである。
続いて「社長ミーティング」として、今井と各部署との週1回のミーティングを定例化した。「遅い仕事は誰でもできる」が今井の口癖である。各部の重要項目について今井自らがヒアリングし判断する社長ミーティングは、様々な取組のスピードアップに大きな効果を発揮した。
さらに、今井は「他社から引き抜かれる人材となってほしい」との信念のもと、長く実施ができていなかった各種研修を復活。社内の中堅・若手社員の意識改革を進める目的で、館長会議の参加人数を大幅に増やした。
社内に、徐々に今井の思いが浸透していった。2021年12月終了時点の営業利益は1.6億円の黒字。2.9億円の赤字予算に対して4.5億円も上振れしていた。そのような中、今井は2021年末に以下のメッセージを発した。
「コロナ禍にもかかわらず2021年度の黒字化が狙える位置までたどり着きました。
このうえは、イズミヤ創業100周年の年に大幅な前倒しでの黒字化をなんとしても達成して次の100年に繋げるべく、もう一段の取組を従業員一丸となって進めていきたいと考えます」
社内は奮起した。1円でも稼ぐべく、テナントリーシングの強化が図られ、空区画への催事展開が進み、専門店事業では販促費の適正化と並行して、3月末には創業100周年の感謝を込めて、季節外ではあったが福袋の販売を実施した。あらゆるSCと部門が費用の適正化を推し進め、1点でも多くお買い上げいただくための取組を実施した。
今井の持論は「後方部門もいかに稼ぐか知恵を絞ること」である。後方部門も努力を積み重ねた。働き方改革と費用適正化の一環で本社退館時間が前倒しされ、ペーパーレス化の呼びかけを受け本社での紙の使用量は50%減を達成した。
そして、当社は2年前倒しでの事業黒字化を達成した。